学校法人 城西大学 Josai University Educational Corporation

EVENT

「日本・東アジア映画の現状と展望~映画『スパイ・ゾルゲ』をめぐって~」

【開催にあたって】

メディア学部を擁する学校法人城西大学・城西国際大学では、日本発の日本・東アジア地域の映画・映像に関する研究交流の発展推進のため、「日本/東アジア映像研究センター」を学校法人城西大学に設立いたします。

その設立を記念し、11月20日に下記のとおり、“「日本・東アジア映画の現状と展望~映画『スパイ・ゾルゲ』をめぐって~」”と題するシンポジウムを下記の概要にて開催することといたしました。

今回は、映画上映、「私の出会ったアジアの映画人とアジア映画の将来」と題した佐藤忠男氏の講演、引き続き篠田正浩監督と佐藤忠男氏の対談をいたします。
佐藤忠男氏は、日本の基層社会を支える論理を映画の中に見出して、それをアジア映画の中にも発見していった映画評論家です。そして村社会が崩壊し、都市化現象が生じる中で、日本やアジアの人々の営みを考察してきました。

一方、本学客員教授でもある篠田正浩監督は、戦後の映画世代として出発し、松竹メロドラマ路線の中で、当時のモダニズムを独自の映画美学として取り入れ、同時に中世芸能史を学んだ芸能史家として、モダニズムと芸能という大変、興味深いテーマを展開しています。

お二人の対談は、将来のアジアと日本、また日本を含めたアジア映画の展開まで、多面的なものになると思いますので、ぜひご来場をお待ちしています。



1. 開催要領

開催日 平成21年11月20日(金曜日)
時 間  午前10時00分より午後4時20分まで
場 所  学校法人城西大学 東京紀尾井町キャンパス
主 催  日本/東アジア映像研究センター・城西国際大学メディア学部・
      JICPAS

第一部
10:00-13:02
 映画『スパイ・ゾルゲ』上映
第二部
14:00-15:00
 挨拶 日本/東アジア映像センター名誉所長 篠田正浩
    日本/東アジア映像センター所長 成瀬活雄
 講演 私の出会ったアジアの映画人とアジア映画の将来
    佐藤忠男(映画評論家・日本映画学校校長)
第三部
15:20-16:20
 対談 映画『スパイ・ゾルゲ』をめぐって

 篠田正浩(映画監督 城西国際大学客員教授 本センター名誉所長)
 佐藤忠男(映画評論家 日本映画学校校長)
 司会進行 成瀬活雄(城西国際大学教授 本センター所長)
        村川英 (城西国際大学教授 本センター研究員)

※ 当日は、プレゼンテーションルームにて、映像作品「ドン・ロドリゴの来た道」(文化庁地  域文化振興プラン推進事業 企画:千葉県立中央博物館 制作:城西国際大学メデ  ィア学部 日本/東アジア映像研究センター)の展示上映を行う予定
http://www.jiu.ac.jp/media/topics/2009/rodrigo.html


お申し込みとお問い合わせ

 ● 2009年10月26日AM.10:00より150名まで受け付けます。(参加費無料)
 ● 参加希望の方は、FAXまたは電子メールm-info@jiu.ac.jp宛てに、
   お名前、ご住所、電話番号(FAX番号)を明記のうえお申し込みください。
   (応募者多数の場合は抽選)
 ● FAX:0475-55-8822 城西国際大学メディアコミュニケーションセンター宛

2. 開催趣旨

2009年5月、SCMS(アメリカ映画メディア学会)設立50周年を記念し、城西国際大学の主催による「映画・映像国際ワークショップ」が開催され、世界各国から、日本・東アジア地域の映画・映像に関する研究者が一同に会し、大きな研究成果を収めました。豊かでユニークなメディアカルチャーを持つ日本において、今後も日本・アジア映画研究の拠点として、国際的な映像メディア学研究の活動・交流の場となるよう設立されたのが「城西国際大学日本・東アジア映像研究センター」です。
 本センターは、日本と東アジア地域の映画・映像・演劇文化の調査研究および、国際シンポジウムの開催をおこない、国際的映像メディア研究者の交流促進事業を積極的に展開します。国内外の日本映画研究者による定例研究会や、本センター企画によるシネマテークを定例的に主催し、日本・東アジア映像研究者のための、日本における研究拠点としての事業を行います。
 また本センター企画による公開講座を実施し地域社会へ日本・アジア映画の研究資産を還元すると共に、映画産業界、官公庁等の外部機関との共同研究、産学協働による映画・演劇作品の制作・公開や、日本・海外のフィルムセンターとの相互交流など、他に例のないユニークな活動を通じて、日本・東アジア地域の映像文化の発展に寄与する役割を果たし、その遂行に資する人材の育成に努めていきます。
 日本/東アジア映像研究センターの設立を記念して開催いたします、今回のシンポジウムでは、日本を代表する映画評論家であり、アジア映画研究者の先駆者であり、またアジア・フォーカス福岡映画祭のディレクターとして、長くアジア映画を世界に紹介してきた佐藤忠男氏に、「私の出会ったアジアの映画人とアジア映画の将来」と題して講演をしていただきます。また、篠田正浩名誉所長による監督作品『スパイ・ゾルゲ』を上映し、篠田名誉所長と佐藤忠男氏による『スパイ・ゾルゲ』をめぐる対談を行います。東アジア地域の映画産業の現状と将来の展望とを、内外に向けて発信するシンポジウムとしたいと考えています。


3. 開催概要

第1部 映画『スパイ・ゾルゲ』上映

映画『スパイ・ゾルゲ』あらすじ

1930年代、朝日新聞記者の尾崎秀実は赴任先の上海でひとりの男リヒャルト・ゾルゲと出会う。ナチス党員のジャーナリスト、ゾルゲの正体はソ連の諜報員。国土の両側をナチスドイツと日本軍の脅威にさらされていたソ連は、両国の動向に神経を尖らせていた。その後ゾルゲはドイツの新聞“フランクフルター・ツァイトゥンク”紙の特派員として来日、日本のドイツ大使館に深く食い込んでいく。やがて彼は日本に戻っていた尾崎と再会、ゾルゲの語る理想に共鳴した尾崎を協力者に取込み、後に“ゾルゲ諜報団”と呼ばれる一大スパイ組織を着々と作り上げていくのだった…。

第2部 講演 私の出会ったアジアの映画人とアジア映画の将来

近年、イラン、中国、韓国、タイ、インドネシア、マレーシア、ヴェトナム、モンゴル、フィリッピン、インドなどの多彩なアジア映画が世界に紹介され、アジア映画がクローズアップされるようになりました。日本を代表する映画評論家であり、アジア映画研究者の先駆者であり、またアジア・フォーカス福岡映画祭のディレクターとして、長くアジア映画を世界に紹介してきた佐藤忠男氏から、日本と東アジアの映像文化について語っていただきます。

講師 佐藤忠男氏プロフィール
 1930年新潟生まれ。予科練出身。新潟市立工業高等学校卒業。戦後の映画評論の中核的な存在として活躍する。1954年に『思想の科学』に掲載された『大衆映画論 任侠について』が鶴見俊輔に認められ、映画と日本の基層社会の関係を分析するなど、映画と日本社会の社会的な構造分析を踏まえた映画論を展開した。この出発は商業映画の枠組みの映画評論から大きく抜け出したもので、『斬られ方の美学』(筑摩書房)など、その後の佐藤忠男の仕事の原点となる。また、戦後世代の増村保造、大島渚、吉田喜重、篠田正浩などの同世代と併走する中で、戦後映画の存在を映画評論で支えた。映画と映画評論の連動の大きなうねりの中で、戦後映画が形作られたといえる。
 また、「小津安二郎の芸術」(朝日新聞社)などで、巨匠たちの映画研究を手がけて、溝口健二、木下恵介、成瀬巳喜男、黒澤明から川島雄三、増村保造、大島渚、今村昌平など日本を代表する監督の映画研究と評伝を手がけ、日本だけではなく、海外の日本映画研究者に大きな影響を及ぼした。日本映画研究の集大成としては『日本映画史 全4巻』(岩波映画)がある。
 さらに韓国、中国の映画研究を深め『キネマと砲声』、『韓国映画の精神 林権澤監督とその時代』、『上海キネマポート 甦る中国映画』『韓国映画入門』などに結実する。
 1991年からはアジアフォーカス・福岡映画祭のディレクターとして、モンゴル、タイ、インドネシア、フィリッピン、イラン、韓国、中国などのアジア映画を紹介してきた。これらの仕事の中から『映画から見えてくるアジア』、『映画でわかる世界と日本』、「新世紀アジア映画」などの著書が生まれている。また、アジアと共に、現代の中近東やヨーロッパ映画を紹介する幅広い活動を行っている。

第3部 対談 映画『スパイ・ゾルゲ』をめぐって

映画『スパイ・ゾルゲ』をめぐり、篠田正浩監督と佐藤忠男氏による対談を行います。作品論はもとより、東アジア地域の近現代史や現状、交流の深い東アジア地域の映画界、映画人についてなど、幅広く語っていただきたいと考えています。


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