学校法人 城西大学 Josai University Educational Corporation

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学校法人城西大学創立45周年事業・城西大学水田美術館建設記念・シンポジウム「近世版画の色と技」

2011年6月18日(土)、城西大学の新たな水田美術館の建設を記念したシンポジウムが、紀尾井町キャンパスにて開催されました。「近世版画の色と技」をテーマに設定し、浮世絵愛好者や研究者ら約180名を超える方々が来場されました。

今回のシンポジウムでは、浮世絵や近世絵画、文化財研究の分野の第一線で活躍されている、学習院大学教授、千葉市美術館館長・小林忠氏、千葉市美術館学芸課長・田辺昌子氏、静岡県立美術館学芸員・福士雄也氏、吉備国際大学教授・下山進氏の4氏をお招きし、江戸時代の多様な版画芸術について色彩と技法の観点からご発表いただきました。

はじめに、水田美術館の設計者であるStudio SUMOの建築家Sunil Bald氏が、建築コンセプトを紹介されました。  小林氏の基調講演「浮世絵版画の色彩表現」では、浮世絵版画の歴史、鈴木春信や喜多川歌麿などの錦絵の色や摺り技法について、多数の作品画像を示されながらお話しいただきました。

続いて、浮世絵版画の摺りの実演会では、アダチ版画研究所の中山周氏による解説のもと、摺師の仲田昇氏によって、写楽《松本米三郎のけはい坂の少将実はしのぶ》の摺りが実演されました。正面摺など高度な技法も披露され、聴講者から多数、質問がよせられました。

研究発表では、田辺氏が「錦絵創始期の色と流通―鈴木春信を中心に―」、福士氏が「上方版画と伊藤若冲」、下山氏が「文化財非破壊分析法による浮世絵版画の色材調査」と題し、江戸の浮世絵や上方の版画、その色彩や技法、絵具の種類などについて、最新の研究成果をご発表されました。

ディスカッションは、城西国際大学国際人文学部国際文化学科・門脇むつみ准教授の進行のもと、聴講者から寄せられた質問に答える形でおこなわれ、江戸と上方の版画の違いなど、4氏のご見解を聞くことができ、充実した内容となりました。

 

建築家 Sunil Bald氏による建築コンセプトの紹介

建築家 Sunil Bald氏による建築コンセプトの紹介

小林忠氏による基調講演「浮世絵版画の色彩表現」

小林忠氏による基調講演「浮世絵版画の色彩表現」

 

摺師 仲田昇氏による写楽《松本米三郎のけはい坂の少将実はしのぶ》摺りの実演

摺師 仲田昇氏による写楽
《松本米三郎のけはい坂の少将実はしのぶ》摺りの実演

ディスカッションの様子

ディスカッションの様子

今回のシンポジウムは、盛況のうちに閉幕し、11月末竣工予定の城西大学水田美術館を広く知っていただく好機となりました。また、聴講された皆様は、浮世絵をはじめとする近世版画について、技術の面から見た多様性や奥深さに考えを巡らすことができ、その魅力をあらためて感じることができたのではないでしょうか。


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