城西大学・城西国際大学の学生30名が、ハンガリー・ブダペスト商科大学(BBS)における研修に参加しました。この研修は、グローバル社会において活躍することのできる人材育成を目的としており、世界という外部から日本文化を俯瞰的に捉えることのできる知識を学生に修得させることに重きを置いています。今年度より両大学で始まった講義「世界の中の日本」と、それに連動する海外インターンシップ「国際グローバル研修」のプログラムとして実施されました。また今回は、2006年度に創設された「女性リーダー育成奨励制度」における海外研修との合同実施となりました。30名の参加学生のうち、9名が女性リーダー育成奨励生です。

研修団は、3月5日～13日の日程において、ハンガリー・ブダペスト商科大学を訪問しました。現地滞在5日間の日程において、午前はブダペスト商科大学における講義を聴講、午後はハンガリーの名所旧跡を巡る市内フィールドワーク、ハンガリーにおける日本文化の受容について理解するための美術館見学を行いました。さらには、ハンガリーに在住する日本人、日本文化に造詣が深いハンガリー人に対して、学生たちはインタビューを行い、「他者」の語りを通して日本文化のあり方を見つめ直す経験をしました。そもそも「日本とは何か」「日本人というアイデンティティとは何か」等、異文化コミュニケーションにおいてもっとも根幹となる問いを、彼/彼女たちは抱えて帰国することになったと思います。帰国後、この問い対してどこまで取り組むことができるのか、参加した学生たちの今後の成長に期待します。

またこの研修では、ブダペスト商科大学で日本語を勉強する学生たちの協力を得られました。現地での講義、学生による成果発表は、英語で実施しました(講義の一部は日本語)。ハンガリーの人びとにとっても英語は外国語です。世界共通語としての英語、ハンガリーで日本語を勉強する学生の日本語を通して、研修団の学生たちは、異なる文化背景を持つ他者と交流する絶好の機会になったと思います。さらに、最終日に実施した成果発表のために学生たちは、研修中毎夜日付が変わる頃まで準備を行っていました。朝から晩まで勉学に励んだ貴重な経験となればと思います。

女性リーダー育成奨励生は上記のプログラムを受けると同時に、ブダペスト商科大学クリスト学長へのインタビュー、ハンガリー外務省のオルバーン大使のもとを訪問しました。ハンガリーは日本と同じく、社会で活躍する女性リーダー(国会議員や管理職)の比率が10％程度と、ジェンダー先進国と比較するとその位置づけは高くはありません。そうした中で、クリスト学長とオルバーン大使は、現代ハンガリー社会で活躍する女性リーダーです。奨励生たちは、これまでの彼女たちのプロセスについての語りをインタビュー等でうかがい、精神・行動の二つの側面から女性リーダーとしての意識・意欲について学びました。
     このようにクリスト学長、オルバーン大使は、今回の私たちの訪問を受け入れてくださいましたが、お二人は水田宗子理事長が結ぶ、世界において活躍する女性のネットワーク(L-WIN)のメンバーです。これは、城西大学・城西国際大学で学ぶ女子学生の人材育成について協力いただけるネットワークであり、年々、メンバーが増えています。女性リーダー育成奨励制度は、こうしたプログラム支援によって海外研修を実現しています。
     さらに研修を受け入れてくださったブダペスト商科大学の先生方も女性であり、ハンガリー社会で女性として仕事をすることのエピソード等を忌憚なく私たちに語ってくださいました。こうした交流を通して今後、日本とハンガリーにおける女性たちのネットワークが構築されていくことも期待されます。

最後に今回のプログラム実施にあたってご尽力いただきましたハンガリーのヒダシ・ジュディット先生、セーカチ・アンナ先生、佐藤紀子先生、シュディー・ゾルタン元大使、シュディー・エリカ様に感謝申し上げます。