学校法人 城西大学 Josai University Educational Corporation

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水田理事長がスウェーデンの「チカダ賞」を受賞しました

学校法人城西大学の水田宗子理事長は、スウェーデン大使館より詩人としての活動が高く評価され、東アジアの生命の尊厳を表現する詩人に授与される「チカダ賞」を受賞し、その授賞式が2013年12月9日スウェーデン大使館にて行われました。
  この賞は、スウェーデンの詩人でノーベル文学賞受賞者ハリー・マッティンソン(Harry Martinson)生誕100周年を記念して2004年に設立された賞で、この賞の名前は、1953年に出版されたマッティンソンの詩集「チカダ(“蝉”の意)」に由来します。この詩集は、詩集「アニアーラ」の最初の29編「ドリスとミマの詩」を収録しており、その詩集制作には、日本への原爆の投下と、それに続く1953年の水素爆弾の開発が特に重要な影響を与えました。
  今回の授与は同賞の設立以来6回目となるもので、これまでに宗左近氏、金子兜太氏、高銀氏(コ・ウン)、申庚林氏(シン・ギョンニム)、文貞姬氏(ムン ジョンヒ)の著名な詩人5人が受賞しており、日本人としては3人目の受賞となります。

ヴァリエ大使(左)より賞状を受け取る水田理事長

ヴァリエ大使(左)より賞状を受け取る水田理事長

授賞式には、本学との交流も深いチェコのカテリーナ・フィアルコヴァー(Kateřina FIALKOVÁ)大使や、スウェーデンに関するゲストの方々をはじめ、本学からも欧州を中心とする海外からの留学生や教員らが出席し、皆で受賞を祝いました。
  授賞式では、最初にラーシュ・ヴァリエ(Lars Vargö)大使が挨拶し、「水田宗子さんの詩は、海外生活において幅広い経験をし、近代化と女性表現を研究してきた喪失の悲しみの深さを押し隠し、感情を対象化して、清新な作品として独自の詩世界を成立させています」と紹介しました。その後、大使より水田理事長にチカダ賞の賞状とトロフィーが手渡されました。このトロフィーは、スウェーデンの著名な陶芸家 Gunilla Sundström氏の手によるもので、詩集「チカダ」の内容にインスパイアされて制作されたものです。
  水田理事長は「このような名誉ある国際詩人の賞をいただき、大変光栄です。ヴァリエ大使をはじめ、この賞の創造に力を尽くされた方々に心から御礼を申し上げます。私はこれまで西欧のジェンダー文化の異邦人である多くの女性詩人たちや大庭みな子さんたちとの交流を通して、国と国の様々な衝突、軋轢は止むことはないが、人々はそのような国家間の争いとは無縁に心を通わせあい、絆を結んでいくものだということを実感しました。そして、その主役はやはり詩であり、詩は同士と心を通わせるだけでなく、魂の在処を瞬間でさぐりあてられる他者との出会いを可能にするものです。」と挨拶しました。そして、受賞の喜びと感謝の意を込めて、ハリー・マッティンソンの詩のひとつを朗読しました。

“Literature meets Music”と題されたこの夜は、授賞式に続いてチェコのジャズピアニスト・作曲家エミル・ヴィクリツキー(Emil Viklicky)氏とベーシスト、作/編曲家の石川翔太氏によるピアノとベースの演奏が行われました。

エミル・ヴィクリツキー氏と石川翔太氏によるピアノとベースの演奏

エミル・ヴィクリツキー氏と石川翔太氏によるピアノとベースの演奏

チカダ賞の賞状とトロフィー

チカダ賞の賞状とトロフィー

(ご参考)
スウェーデン大使館のHP
  http://www.swedenabroad.com/ja-JP/Embassies/Tokyo/4/News-jp/-sys101/

「水田宗子 詩人としての経歴」
  大学在学中に、現代詩の会としてのちに多くの詩人・作家を輩出する『詩組織』(ぶうめらんぐの会)に参加。その後、1961年にイエール大学に留学。シルヴィア・プラスやその他の詩人との出会いもあり、評論活動も開始する。『春の終りに』(1976年)『幕間』(1980年)を出版。『炎える琥珀』(1996年)は、米国リバーサイド在住のときであった芥川賞作家大庭みな子氏との往復詩である。1985年に24年間の米国生活を終え、父水田三喜男が創立した学校法人城西大学を引き継ぐために帰国。詩組織の解散もあり、12年間の未発表の詩を集め、『帰路』(2008年)を出版。また、『サンタバーバラの夏休み』(2010年)『アムステルダムの結婚式』(2013年)『青い藻の海』(2013年)は、いのちの循環、人がどこからきて何処へ行くのか、沈黙の裏にある記憶、そして喪の受け入れがテーマとして共通している。

【詩集】
『春の終りに』1976年12月 八坂書房
『幕間』1980年5月 八坂書房
『炎える琥珀』大庭みな子氏と共著1996年8月 中央公論社
『帰路』2008年7月  思潮社
『サンタバーバラの夏休み』2010年6月 思潮社
『アムステルダムの結婚式』2013年4月 思潮社
『青い藻の海』2013年10月 思潮社

【詩の評論】
『受難の女性詩人』1979年4月 牧羊社
『モダニズムと〈戦後女性詩〉の展開』2012年1月 思潮社

【エッセイ】
『ことばが紡ぐ羽衣:女たちの旅の物語』1998年12月 思潮社
『居場所考-家族のゆくえ』1998年12月 フェミックス
『女性学との出会い』2004年5月 集英社


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