学校法人 城西大学 Josai University Educational Corporation

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第2回チカダ賞記念国際シンポジウムを開催しました

2016年11月18日、学校法人城西大学(水田宗子理事長)は「第2回チカダ賞記念国際シンポジウム」を東京紀尾井町キャンパス1号棟ホールで開催しました。スウェーデン政府が生命の尊厳を表現する東アジアの詩人に贈呈しているチカダ賞にちなんだシンポジウムで、2014年6月7日の第1回に続く開催となりました。本学の国際学術文化振興センターが主催。日本スウェーデン協会と思潮社の共催、駐日スウェーデン大使館の協力をいただきました。また、紀伊國屋書店、株式会社ユアテック、ジャパンタイムズ社の後援をいただきました。海外を含めた歴代受賞者をはじめ、日本の著名な詩人の方々が登壇、「生命の尊厳を表現するということ」をテーマに論議を深めました。興味深い各セッションの議論と朗読に詩人や市民の方々、留学生を含む学生、教職員ら約160人が聴き入りました。

チカダ賞は、スウェーデンの詩人でノーベル文学賞受賞者のハリー・マーティンソン(Harry Martinson)の生誕100周年を記念して2004年に設立されました。賞の名前は、1953年に出版されたマーティンソンの詩集『チカダ(“蝉 ”の意)』に由来します。この詩集制作には日本への原爆投下と第二次世界大戦後の水素爆弾開発が重要な影響を与えました。第1回受賞者は詩人・評論家の宗左近氏、第2回受賞者は俳人の金子兜太氏、詩人でもある水田理事長は2013年に第6回受賞者となりました。

今回の登壇者は、以下の方々でした(登壇順)。

 ・  ラーシュ・ヴァリエ(Lars Vargö)氏= 前駐日スウェーデン大使・俳人
 ・  北島(Bei Dao)氏=中国・ 第7回賞受賞者・詩人
 ・  谷川俊太郎氏=詩人
 ・  文貞姫(Moon Chung-hee)氏=韓国・ 第5回賞受賞者・詩人
 ・  高橋睦郎氏=詩人
 ・  イー・ニー氏(Y Nhi)氏= ベトナム・第8回賞受賞者・詩人
 ・  水田理事長=第6回チカダ賞受賞者・詩人
 ・  吉増剛造氏=詩人

金子氏と楊牧(Yang Mu)氏(台湾・第9回賞受賞者・詩人)からは、ビデオメッセージをいただき、上映が行われました。また、各セッションのモデレータは、本学の国際現代詩センターの田原(Tian Yuan)副センター長、城西国際大学国際人文学部のジョーダン・スミス准教授、ヴァリエ氏が務めました。

午前の冒頭、水田理事長は開会挨拶で「チカダ賞が国際的な賞になっていることをうれしく思います。本日は色々なことを深く考えるきっかけにしたいと思います」と述べました。来賓のマグヌス・ローバック(Magnus Robach)駐日スウェーデン大使が「歴代受賞者を迎えてシンポジウムを開催していただき感謝いたします。現代において詩は重要で、スマートフォンの時代だが、我々の内なる声を聴くことが必要だ」と挨拶。チカダ賞会長も務めるヴァリエ氏がチカダ賞創設の経緯を紹介し、「マーティンソンは生命に対する希望を蝉で表現したのではないか。実りある興味深いシンポジウムになることをお祈りします」と述べました。
  「チカダ賞へのメッセージ」と称したビデオメッセージの上映で金子氏は「チカダ賞は、まさにアニミズム。短詩型文学の担ぎ出しをチカダ賞がやってみる手もある。それで日本人でノーベル賞をもらえるぐらいの人が出てくると面白い」と語りました。

開会の挨拶をする水田理事長

開会の挨拶をする水田理事長

挨拶するローバック大使

挨拶するローバック大使

挨拶するヴァリエ会長

挨拶するヴァリエ会長

金子氏のビデオメッセージの上映

金子氏のビデオメッセージの上映

その後、北島氏と谷川氏による「生命の尊厳を表現するということ」をテーマにした対談と朗読に移り、谷川氏は「ビデオメッセージで金子さんが言っていた、全てのものに神が宿っているというアニミズムは、人間を超えた命に関する思想。日本のアニミズムの伝統をもう一回振り返ってもいいのではないか」と指摘。北島氏は「私の心はずっと漂泊しているが、色々な詩人に出会って世界が広がった。一匹の鳥のように世界の辺境が見える所に来ている」と述べました。
  午後は、文氏と高橋氏による対談と朗読「ジェンダーといのちの尊厳」に加え、文氏と水田氏、北島氏、イー氏による座談会「詩と現実」が開かれました。高橋氏が「本来、詩歌は女性のものだと思っている」と語ったのに対し、文氏も「全ての詩人は根本的に女性である。男性詩人も女性性によるもの」と応えました。また詩と現実について、水田氏は「現実に深く傷ついた人は、その傷が深ければ深いほどトラウマと長く向き合うのではないか」と述べ、イー氏は詩とフィクションの関係について「成功する詩は、読者がどう感じるかであり、嘘か真実かの二者択一ではないと思う」と語りました。議論はボブ・ディラン氏のノーベル文学賞受賞にも及び、文氏が「戸惑った」と語ったのに対し、水田氏は「我が意を得たりと感じた」、イー氏も「(選考は)良い判断だった」と述べました。

北島氏と谷川氏による対談

北島氏と谷川氏による対談

朗読する北島氏

朗読する北島氏

朗読する谷川氏

朗読する谷川氏

文氏と高橋氏による対談

文氏と高橋氏による対談

「詩と現実」のセッションの様子

「詩と現実」のセッションの様子

最後に吉増剛造氏とイー氏、ヴァリエ氏、スミス氏、水田氏による朗読がありました。

朗読するイー氏

朗読するイー氏

参加者全員による記念撮影

参加者全員による記念撮影


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