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講 師 |
森 一郎(東京女子大学教授) |
コード |
09104 |
定 員 |
60名 |
回 数 |
全1回 |
日 程 |
2009/12/5 |
時 間 |
土曜日 15:00〜16:30 |
受講料 |
1,000円 |
この講演では、イントロダクションとして「死と誕生」のテーマを概説したのち、本来のテーマたる「世界への愛」へと一歩踏み出すことにしたい。
生あるものはすべて、死すべき運命にある。だが「いのち」は、死という終わりをもつのみならず、誕生という始まりをもつ。人間を「生まれ出づる者ども」として捉えることは、実存の「始まり」性格に光を当てることにつながる。たまたまこの世に生まれ、存在し始めたいのちは、あらたに始める力能をはらんでおり、偶然のめぐり合いによって「第二の誕生」を迎える。そんなありそうにないことが、それでも起こると信じてよいのだ。
われわれ人間がそこに生まれては、そこから去っていく世界は、個々のいのちを超えて、存続する。世代にまたがって共有される世界は、大小さまざまな物から成る。たとえば、書物や建物。伝承されてきた物を大切に守り、後代に伝えてゆくことは、「世界への愛」のかたちなのである。今日、モダニズム建築の建て替え問題が各地で噴出しているが、この問題は、われわれの共同世界そのものが危機に瀕していることを如実に物語っている。
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『死と誕生 ハイデガー・九鬼周造・ アーレント』 (東京大学出版会2008年) |
ハンナ・アーレント 「起こってはならないことが 起こってしまった」 |
モダニズム建築に特徴的な水盤 |
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講師 |
- 森 一郎
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1962年8月13日、埼玉県に生まれる。東京大学文学部卒業。同大学大学院人文科学研究科博士課程中途退学。東京大学助手、東京女子大学専任講師、助教授を経て、現在、東京女子大学現代教養学部人文学科教授。専攻は、哲学・哲学史、特にニーチェ、ハイデガー、アーレントを中心にした西洋近現代哲学研究。主な業績としては、『ハイデッガー全集第79巻 ブレーメン講演とフライブルク講演』(翻訳、創文社2003年)、『ハイデッガーと思索の将来 −哲学への<寄与>−』(共著、理想社2006年)、『死と誕生 ハイデガー・九鬼周造・アーレント』(単著、東京大学出版会2008年、第21回和辻哲郎文化賞受賞)。
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