半世紀以上にわたって読まれ続け、幅広い読者層を持つ谷川詩によって、詩は孤立的なものではないことを多くの人々が理解した。日本において、彼はさまざまな年齢層とさまざまな職業の読者を持っている。彼の母語以外の世界においても、多くの読者の共感を得ている。それは無論、その詩の魅力がそうさせたのである。それは、独自な言語感覚、感性の質、彼の広い視野と豊かな想像に由来するものである。ただ一つの手法だけで一生を終える詩人と比べて、同時に多種多様な書き方を試みる谷川俊太郎は、スーパーマンのような一面を持っているようだ。全体から見れば、彼の作品は大まかに二種類――即ち「言語本位」と「人間本位」――に分けられると思う。童謡や言葉遊び歌シリーズ、それに歌詞と時事諷刺詩は、普通の読者向けの「人間本位」の作品と理解していい。その他の作品は殆ど純粋詩、つまり「言語本位」の創作と言える。それらの中には、イマジズム、シンボリズム、シュールリアリズム、リアリズムなどが絡み合っている。国境も世代も超えた谷川詩の魅力をお伝えしたい。※講義は日本語で行います。
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