高度経済成長の時代、まちは経済性が優先された結果、「都心の業務地」と「郊外のベッドタウン」という二つの極に分かれることになりました。当時の社会背景は、ベビーブームを基調にした人口増加であり、住宅開発は都市の周縁部にまで広がりました。しかし現在は、少子化、高齢化、人口減少、空き家問題と、社会課題は前世紀とは対極のものになっています。その中で、前世紀の都市計画も限界を迎えています。21世紀は、足元の「コミュニティデザイン」が大切になります。地域起業、地域支援、シェアエコノミーや多様性というキーワードの中で、ゆるやかに人の輪がつながり、暮らしが回っていく−−。その先進的な動きがあるのが、湘南の海沿いです。古い建物を活かしたコーヒーロースターやベーカリー、デリカテッセン、レストラン、そして、市民の集まるマーケットなど、社会性と環境性に重きを置いたコミュニティデザインの実例を、「鎌倉・逗子・葉山」のフィールドワークから紹介し、豊かな時代の暮らし方を考えていきます。 |