日本の伝統芸能に親しんでいただくことを目的として毎年上演されている歌舞伎鑑賞教室をご案内いたします。まず、歌舞伎のイロハを出演者が舞台上で実演を交えわかりやすく解説します(約30分)。そして、初めての鑑賞に適した名作・名場面をご覧いただきます(70〜100分)。
今回の演目「菅原伝授手習鑑−車引−」は、菅原伝授手習鑑の三段目に位置し、人形浄瑠璃(文楽)においては短い場面でしかありませんでした。しかし、歌舞伎化するにあたってショーアップされた豪快な一幕となり、様々な見得や飛び六方など、荒事の演出が取り入れられ、歌舞伎の様式美をご堪能いただける屈指の名作です。
演目「棒しばり」は、狂言「棒縛」を基にした、軽やかで可笑しみ溢れる人気舞踊で誰もが楽しめる作品です。主演は現代歌舞伎を担う若手の花形で、健康的で清潔な芸風が魅力の尾上松緑。荒事から世話物まで、男性的でスケールの大きい役柄を得意とする松緑の、全身から溢れ出るような力強い舞台をぜひご堪能ください。
尾上 松緑(四代目)
昭和50年2月5日生まれ。初代尾上辰之助(三世尾上松緑追贈)の長男。55年1月国立劇場で本名で初お目見え。56年2月歌舞伎座で二代目尾上左近を名のり初舞台。平成3年5月歌舞伎座で二代目尾上辰之助を襲名。平成14年5・6月歌舞伎座で四代目尾上松緑を襲名。古典を重んじながらも色々な役に挑戦し、歌舞伎役者としてだけでなく、舞踊家としても平成元年6月に藤間流家元・六世藤間右衛門を襲名。 |