今期は、国立能楽堂12月定例公演をご案内いたします。狂言「業平餅」は、さながら王朝絵巻のような登場場面ののち、一転して食欲と色欲にまつわる笑劇が始まるという、貴公子・在原業平を主人公とした話で、和泉流を代表する石田幸雄と様々なジャンルで活躍する野村萬斎が演じます。能「恋重荷」は、美しい女御に恋をしてしまった老人の悲哀と恨みを描いた作品で、老人の強い絶望や心の揺れが、緩急鋭い謡とごくわずかな所作とで見事に表現され、観る人の心に迫ります。最も古流とされる金春流の本田光洋が演じます。この機会にぜひ日本が誇る伝統芸能の世界をお楽しみください。 |