学校法人 城西大学 Josai University Educational Corporation

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学校法人城西大学創立50周年記念特別講演会・「フランスで賞賛された明治の風刺画家 河鍋暁斎」を開催しました

学校法人城西大学は、2015年7月17日、東京紀尾井町キャンパスで特別講演会「フランスで賞賛された明治の風刺画家 河鍋暁斎」を開催しました。創立50周年を記念した特別講演会の一環。クリストフ・マルケ日仏会館・日本研究センター所長が講師をつとめ、学生、教職員のほか「暁斎ファン」ら約160人が聴き入りました。

河鍋暁斎(かわなべ・きょうさい、1821~1889年)は、幕末から明治にかけて活躍した異端の画家。1870(明治3)年には筆禍事件で捕えられたこともあるほどの反骨精神の持ち主で、多くの戯画や風刺画を残しています。狩野派の流れを受けているが、他の流派・画法も貪欲に取り入れ、自らを「画鬼」と称しで、その筆力・写生力は群を抜いていたが、近年まで日本の美術史の中では忘れられた存在でした。しかし、欧州では19世紀末に日本の代表的な画家として北斎に次いで賞賛されておりました。

講演に先立ち、水田宗子・学校法人城西大学理事長は「マルケ先生は、日本とフランスの文化交流の研究や人材育成に力を入れてきた方です。本学では『世界の中の日本』をテーマにした教育プログラムを持っており、先生の講演は、学生らに大きな示唆を与えてくれると確信している」と挨拶しました。

挨拶する水田理事長

挨拶する水田理事長

講師のクリストフ・マルケ氏は、1965年、フランス生まれ。日本近世・近代美術史と出版文化史が専門で、編著に「日本の文字文化を探る―日仏の視点から」「テキストとイメージを編む―出版文化の日仏交流」などがある。フランスでは芳中、北斎、歌麿、暁斎など数多くの江戸・明治の画譜の翻訳と復刻を出版。暁斎の遺作「暁斎百鬼画談」を仏訳・復刻されております。
  マルケ氏は、フランスを中心に美術館、博物館などを現地調査、「暁斎の足跡」を追い求めてきました。その際に写しとったスライドを駆使しながら「暁斎はいつ、なぜフランスで有名になったか」について言及されました。

講演するマルケ氏

講演するマルケ氏

暁斎は、東洋の宗教調査のために来日したフランス人実業家エミール・ギメと画家フェリックス・レガメが、1880年に彼らの著書『日本散歩』の中で初めて紹介したことがきっかけで、フランスで諷刺画家として高く評価されるようになりました。ギメ美術館所蔵の絵本や、フランスの有名雑誌の表紙の挿絵なども紹介されました。マルケ氏は「筆禍事件では、暁斎は3か月間、投獄され、『反骨の画家』のイメージが、フランスで定着しました。ヨーロッパにかぶれず、日本的な美意識を全うしたことが高く評価された」と説明しながら「暁斎没後に『フィガロ紙』が1面でその訃報記事を掲載したほどだ」とフランスでの暁斎への関心の高さを指摘されました。

会場には、ギメ美術館の学芸員、パリクラブ、フランス日本婦人会の会員らも詰めかけました。また、「曉齋展」が東京・三菱一号館美術館において開催中で、その関係者の姿もありました。


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