学校法人 城西大学 Josai University Educational Corporation

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学校法人城西大学創立50周年記念 特別講演・アメリカ哲学者 バーンスタイン氏を招いた講演会を開催しました

2016年6月8日、学校法人城西大学(水田宗子理事長)は、アメリカの哲学者・リチャード・J・バーンスタイン氏を招いた講演会「ハンナ・アーレント―思考を侮る悪について」を東京紀尾井町キャンパス1号棟ホールで開催しました。学校法人創立50周年を記念した特別講演で、研究者や本学の教職員、学生、留学生ら約150人が、世界的な哲学者による刺激的な講演に耳を傾けました。

バーンスタイン氏は、米国ニュースクール大学の哲学教授で元大学院長。イェール大学、ハバフォード大学で長年教鞭をとるかたわら、ヨーロッパの形而上学とアメリカの分析哲学を横断する著作を多数発表してきました。

講演のテーマとなったハンナ・アーレント(1906~75年)はドイツ生まれ。社会民主主義者のユダヤ人家庭で育ち、大学では哲学者のハイデガーに師事。第二次世界大戦中にナチスの強制収容所に連行されたものの脱出して最後はアメリカに亡命しました。1951年に「全体主義の起源」を発表して話題になり、哲学者の地位を確立。その後、プリンストン大学やハーバード大学で教鞭をとりました。1960年に逮捕された、ナチスのユダヤ人列車移送の最高責任者を務めたアドルフ・アイヒマンに対する裁判のレポートは、「アイヒマン擁護」との批判も生み、全米で激しい論争を巻き起こしました。

特別講演に先立ち、水田理事長は「世界的に高名な哲学者をお迎えすることができて光栄です。ジェノサイドは20世紀に傷を残してきました。本日は倫理の根源を問いただす講演になると思います。さまざまな思索や将来を考える示唆をいただけるのではないかと思います」と歓迎のスピーチをしました。

挨拶する水田理事長

挨拶する水田理事長

バーンスタイン氏は講演で、アーレントがアイヒマン裁判のレポートで指摘した「悪の陳腐さ」について言及。「普通の人間が思考を放棄し、上からの命令に忠実に従うことでホロコーストのような悪に加担してしまう。思考停止が悪を生む」ということこそが、アーレントが言いたかったことだと指摘しました。その上で、現在のアメリカの状況にも触れ、「イスラムについて言われていることにも同じような感じを受ける。正しいか正しくないか二極的な考え方は間違っている。思考停止することなく、立ち止まって考えること。それによって悪に抵抗していくことが大切だ」と結びました。質疑応答でバーンスタイン氏は、留学生や一般の方からの質問にも丁寧にお答えいただきました。

講演するバーンスタイン氏

講演するバーンスタイン氏

学生から花束を贈られたバーンスタイン氏

学生から花束を贈られた
バーンスタイン氏

この日午前は、バーンスタイン氏の妻でブリンモア大学教授のキャロル・L・バーンスタイン氏の講演会「文化的記憶の役割」も同キャンパス3号棟の国際会議室で行われました。文学作品、映画における広島やユダヤ人虐殺など大きな悲劇と記憶についての論考に、留学生や教職員、学生ら約100人が聞き入りました。

講演するキャロル・バーンスタイン氏

講演するキャロル・バーンスタイン氏

午前の講演会後、マレーシアの留学生らと記念撮影

午前の講演会後、マレーシアの留学生らと記念撮影


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