学校法人 城西大学 Josai University Educational Corporation

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Modern Poetry International Symposium Ⅱ・国際現代詩シンポジウム「俳句と現代詩のあいだ」を開催しました

2016年9月16日、学校法人城西大学(水田宗子理事長)は、東京紀尾井町キャンパス1号棟ホールで、国際現代詩シンポジウム「俳句と現代詩のあいだ」を開催しました。本学の国際現代詩センターが主催、思潮社の後援をいただきました。芥川賞作家で詩人の多和田葉子氏の特別講演に加え、日本の第一線で活躍する著名な俳人と詩人による座談会によって、二つのジャンルの間に広がる表現の空間について語り合いました。詩人や俳人、作家、市民の方々約160人が興味深いテーマのシンポジウムに聴き入りました。

本学は昨年12月、創立50周年を記念して法人本部内に国際現代詩センターを設立しました。日本および世界における近現代詩の批評的研究や翻訳、鑑賞の中心となることを目的としたもので、詩に関するシンポジウムや対談・鼎談・朗読会を開催しています。東日本大震災から5年目の今年3月11日、3・11の惨事を詠った詩人と俳人による座談会と詩の朗読会「荒ぶるゆりかご―3・11の惨事への詩的な応答―」を開催。7月1日には、日本と中国の現代詩人による座談会と朗読会による国際現代詩シンポジウム「詩と幼年時代」を開催しました。

水田理事長は開会挨拶で「俳句が西洋の詩に与えた影響は大きい。一度は俳句と現代詩の関係、(両者の間に)どういう表現の空間が広がっているのか向かい合ってみたいと思っていました」とシンポジウム開催の趣旨を説明。「多和田氏はジャンルや国、言語を交わらせながら表現を開拓されてきた方。ご講演をいただくことは大変、幸せなことです」と、多和田氏を紹介しました。

多くの聴衆を前に開会挨拶する水田理事長

多くの聴衆を前に開会挨拶する水田理事長

講演する多和田氏

講演する多和田氏

多和田氏は「だぶる文字、かさなる声」と題した特別公演の冒頭、語学や文法、言語をあしらった「川柳もどき」(多和田氏)を披露して会場の笑いと拍手を受けました。多和田氏はドイツの詩を例に多言語性について言及。日本語のひらがなと漢字についても触れ、「漢字が出てくると抽象的な意味のある空間が広がり、一瞬足を止める感じ。ひらがなはするすると流れていく感じ。止める、流れるの変化によってビジュアルなリズムが出てくるのではないか」と語りました。

シンポジウムには、高橋睦郎(詩人)、高野ムツオ(俳人)、神野紗希(俳人)、田原(詩人・翻訳家、城西国際大学客員教授)の4氏が登壇。多和田氏と詩人で比較文学者でもある水田理事長がコメンテーターを務めました。高橋氏は「日本の文学史の中核は歌の歴史。長いものから短くなっていく歴史だった。その中で俳句は最も進化した最先端の詩歌」と述べました。担い手の高齢化で「俳句の将来に不安を持っている」とも語った高野氏は「現代詩に対するコンプレックスを持ちながら、俳人が言葉のあり方を認識してきたことによって戦後、新しい俳句が形作られたのかなと思っている」と指摘しました。神野氏は「今の現代詩は非常に音楽的だというのが率直な感想。かつて視覚的な刺激を受けた現代俳句が今度は、音、調べ、声としての言葉を書き留める現代詩からエッセンスをもらうことができるのではないか」と語りました。最後に田氏は「国際的なジャンルになっている俳句に比べて漢詩はそうではない。中国語は閉鎖的な言語で、日本語は開放的な言語」と述べました。
  4氏の発言を受けて多和田氏は「 定型など小説が俳句から学べることは非常にたくさんあると感じた」とコメント。水田理事長は「現代詩と俳句はいろいろなところで一緒に、ジャンルとして作り、生き残ってきたというところがあるのではないでしょうか」と結びました。

発言する高橋氏

発言する高橋氏

発言する高野氏

発言する高野氏

発言する神野氏

発言する神野氏

発言する田氏

発言する田氏

シンポジウムの様子

シンポジウムの様子

参加者による記念撮影

参加者による記念撮影

国際現代詩センターでは、スウェーデン王国「チカダ賞」との共催で、生命の尊厳を表現することについて考える第2回チカダ賞記念シンポジウムを11月18日(金)に東京紀尾井町キャンパス1号棟ホールで開催します。多くのご参加をお待ちします。


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