中欧とはヨーロッパのどの地域を指すのでしょうか。地理的には、文字通りヨーロッパの中部地域(セントラル・ヨーロッパ)を意味しますが、なかなかイメージしづらい地域です。共通する特色が乏しく、多様性こそがこの地域の特徴だからです。現在の国名で言うと、ポーランド、チェコ、スロヴァキア、ハンガリー、スロヴェニアが中欧に含まれます。これらの諸国の西側にウィーンを首都とするオーストリアが位置しています。ウィーンはハプスブルク帝国の首都でもあり、歴史的な観点からすると、中欧とはハプスブルク帝国の支配下に置かれた地域ということができます。
このようにハプスブルク帝国と結びつけると、中欧のイメージが少しはっきりするかもしれません。しかし、厳密に言うと、第一次世界大戦まで、ポーランドの大部分はロシア帝国に統治されていました。一方、バルカンのボスニア・ヘルツェゴヴィナとクロアチアの全域、ルーマニアやウクライナの一部はハプスブルク帝国の統治下にありました。中欧は時代によって、その範囲が伸縮するだけでなく、民族、言語、宗教、文化が極めて多様です。
私たちはハプスブルク支配下の地域とそれに隣接する東部の地域、言い換えると「中・東欧」を広い意味の中欧と考えて研究の対象としています。城西中欧研究所は、この地域を対象として活動する日本で唯一の研究・教育機関です。私たちの研究所のもう一つの特色は、研究員の先生方が城西国際大学(JIU)だけでなく、城西大学(JU)にも所属している点です。両大学の中欧を専門とする先生方が協力して、研究所の運営や活動にあたっています。
研究員はJIUの教員が4名、JUの教員が3名の計7名で、これに学校法人城西大学の職員が1名協力してくれています。研究所のメンバーについての紹介は、プロフィールのページを見てください。研究所は国際会議やシンポジウム開催などの研究活動だけでなく、年1回のペースで日本語と英語による研究論文を、学術誌のE-ジャーナル『中欧研究』(https://www.josai.ac.jp/jices/ejces_j/index.html)で発表しています。
主な教育活動としては、今年度で7回目を迎える「中欧+日本学生会議」の開催、毎年、両大学にハンガリー、ポーランド、チェコ、スロヴァキアから留学生を15名ほど受け入れる「中欧奨学生」の書類審査を担っています。2019年度には両大学の学生が参加した中欧研修も主催しました。これらの活動についても当該ページを参照してください。
城西中欧研究所は、紀尾井町キャンパス4号棟5階にあります。都心の交通至便な地を拠点にして、私たちは中欧に関する日本の研究を国外に発信すると同時に、中欧諸国からの研究者や留学生との交流活動も積極的に進めています。歴史が複雑に絡み合い、音楽や美術など文化の面で魅力あふれる中欧に関心のある方は、shiban@jiu.ac.jp までご一報下さい。
2020年5月
柴 宜弘(中欧研究所長、大学院国際アドミニストレーション研究科特任教授)
<中欧及び周辺国での学術提携校>
学校法人城西大ではこれまで中欧地域において、下表の22大学と学術交流協定を結んでいます。城西国際大学、城西大学は、これらの大学で日本語、日本文化、日本経済などに興味を持つ学生を受け入れるとともに、英語以外の語学教育も積極的に実施し、現在も数多くの学生がハンガリー語、チェコ語、ポーランド語を学び、中欧圏の大学へ長期・短期留学をしています。
学校名 | 国 |
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ブダペスト商科大学 | ハンガリー |
ニーレジハーザ大学 | |
ブダペスト・コルヴィヌス大学 | |
エトヴェシュ・ロラーンド大学 | |
カーロリ・ガシュパール・カルビン派大学 | |
センメルヴェイス大学 | |
セント・イシュトヴァーン大学 | |
デブレツェン大学 | |
セゲド大学 | |
ペーチ大学 | |
ポーランド日本情報工科大学 | ポーランド |
ウッチ大学 | |
ワルシャワ大学 | |
ワルシャワ経済大学 | |
プラハ経済大学 | チェコ |
マサリク大学 | |
カレル大学 | |
プレショフ大学 | スロヴァキア |
コメニウス大学 | |
リュブリャナ大学 | スロヴェニア |
ノヴァ・ゴリツァ大学 | |
ニコラス・ロメリス大学 | リトアニア |