学校法人城西大学 水田記念図書館 大石化石ギャラリー Oishi Fossils Gallery of Mizuta Memorial Museum・Josai University Educational Corporation

学校法人城西大学水田記念博物館大石化石ギャラリー

第1回:白亜紀(はくあき)ってどんな時代?

水田記念博物館大石化石ギャラリーに展示されている化石のほとんどは、およそ1億年前に生活していた生き物たちのものです。
 この「およそ1億年前」という時期は、「白亜紀(はくあき)」とよばれる時代の中ごろにあたります。ではこの白亜紀とはどんな時代だったのでしょうか?
 「白亜紀」とは、およそ1億4,550万年前からおよそ6,600万年前までのおよそ7,950万年間をしめす時代名です。「7,950年間」といわれても、 その長さについて実感がわかない人がほとんどでしょう。
私たち人類(“ホモ・サピエンス”とよばれる種類)が地球上に登場してからおよそ19万5,000年とされていますので、「7,950万年間」は長い人類の歴史を400回以上もくり返さなければなりません。
それでもまだピンとこない人も多いと思いますが、乱暴にまとめてしまうと、とにかく人類が体験したことのないとても長い時間なのです。


白亜紀という時代を語る上でとても大切なキーワードがあります。それぞれの詳しい説明は第2回以降にゆずりますが、次の3つのキーワードをよく おぼえておいてください。
① とにかくあたたかい!!(グリーンハウス)
② 花を咲かせる植物の登場
③ 恐竜の大繁栄(だいはんえい)


ところで、大昔の時代名というと、白亜紀の他に「ジュラ紀」や「カンブリア紀」などといった名前もよく耳にするのではないでしょうか。
これらは「地質時代(ちしつじだい)」とよばれる時間の分け方で、特徴的なある生き物が生きていた時間を1つの時代として分ける方法です (おおざっぱにいうと、「○○紀は△△という生き物の時代」といった具合です)。
 今からさかのぼること5億4,000万年間の、生き物たちが地球上にたくさんいた時期(顕生代(けんせいだい)といいます)は、まずは古い方から「古生代(こせいだい)」、「中生代(ちゅうせいだい)」、「新生代(しんせいだい)」の3つに分けられます。つまり、「現代」とは今も続いている最中の「新生代」の終わりにあたるわけです。これらの3つの時代は、さらに細かく分けられており、中生代は古い方から「三畳紀(さんじょうき)」、「ジュラ紀」、「白亜紀」の3つの時代に分けられています。ここまでをまとめると、白亜紀とは、生き物の主な歴史(顕生代)の中ごろにあたる中生代の、終わりごろにあたる時代なのです。ちなみに、先ほど登場した「カンブリア紀」は、古生代をさらに6つに分けた中の最初の時代です。

そもそも「ジュラ」や「カンブリア」とは何をしめす言葉だと思いますか?答えは、その時代の地層が観察できる代表的な場所の名前(地名)なのです。残念ながら日本の地名は使われておらず、主にヨーロッパの地名がもとになっています。「ジュラ」はスイスとフランスの国境にある「ジュラ山脈」からとられており、「カンブリア」はイギリス南部にあるウェールズという地名のラテン語名です。

ドーバーの白い壁

ドーバーの白い壁

それでは、白亜紀の「白亜」はどうなのでしょうか?世界中どこを探しても「白亜」という地名は(おそらく)見つかりません。実は白亜紀は この「地名の法則」が当てはまらない特別な時代名の1つなのです。「白亜」の由来(名前のもと)を探すと、それはイギリスにあります。ヨー ロッパ大陸から海を渡り、島国イギリスに船で向かってみましょう。すると、イギリスの海岸に沿って高さ100メートルにもなる真っ白な崖(がけ)が皆さんの行く手に立ちはだかるでしょう。この崖は、「ドーバーの白い崖」とよばれているのですが、なんと顕微鏡(けんびきょう)でもよく見えないとても小さな生き物のカラが集まったものなのです。その生き物とは、白亜紀の海で大繁栄した「石灰質(せっかいしつ)ナノプランクトン」という単細胞生物(たった1つの細胞からなる単純な構造の生き物)で、1ミクロン(1ミリの1000分の1)にも満たないとても小さなカラをもっています。この目に見えない小さなカラがとてつもなく長い時間をかけてゆっくりと、大量に海底に降り積もり、この巨大な崖を作る地層となりました(なにしろ、白亜紀は長いのです)。

こうしてできた地層の白い石は、英語で「チョーク(chalk)」とよばれています。 この石の名前、どこかで聞いたことないですか?そう、学校の黒板に字を書くときに使うチョークは、昔は崖から切り出されたこの石を材料として作られていたのです。チョークを日本語では「白亜」というため、チョークという石でできた地層に代表されるこの時代を「白亜紀」というわけです。


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