学校法人 城西大学 Josai University Educational Corporation

国際学術文化振興センター(JICPAS)

シンポジウム

成瀬 巳喜男 生誕百年

日本の女性映画の名匠として成瀬巳喜男は新派からモダニズム、文芸映画からホームドラマまでさまざまな女の生きかたをスクリーンに描き続けたが、同時に卓抜な映像表現が女性映画表現を支えた名匠であった。生誕百年にあたって今回のシンポジウムは、成瀬映画の再発見という見地から、成瀬映画テクニックの検証、フェミニズから見た成瀬映画、さらに世界的な評価をみせている成瀬の現代的な意味を語ってもらおうという試みである。

日時

5月28日(土) 13:00~17:00 <参加費無料>

場所

学校法人城西大学 東京紀尾井町キャンパスB1Fホール
〒102-0094 東京都千代田区紀尾井町3-26
地図、路線案内はこちら

お申込みとお問合せ

4月11日(月)10:00より先着130名まで受付ます。<参加費無料>
参加希望の方は、FAXまたは電子メールm-info@jiu.ac.jp宛にお名前、ご住所、電話番号(FAX番号)をご記入の上、お申し込みください。

FAX 0475-55-8822 城西国際大学メディア・コミュニケーションセンター宛

シンポジウム内容

1

13:00~14:00
徹底討論「成瀬映画の魅力を語る--成瀬映画の技法とディテールについて」
佐藤 忠男(映画評論家) VS 恩地 日出夫(映画監督)

日本映画の中の成瀬巳喜男を検証しながら、評論家と実作者の立場から映画評論家の佐藤忠男氏と映画監督恩地日出夫氏が成瀬映画の技法を語る。

2

14:15~15:15
小市民映画の流れ--日常の中のドラマツルギー
香川 京子(女優) VS 佐藤 忠男(映画評論家)

成瀬巳喜男の自然体の魅力とドラマツルギーを小市民映画の流れの中で探る。また、世界の映画の中で成瀬映画を検証する。「銀座化粧」、「お母さん」、「稲妻」、「驟雨」、「杏っ子」に出演した香川京子さんに成瀬映画体験談をふまえて語ってもらう。

3

15:30~16:30
成瀬映画のヒロインたち--林芙美子と成瀬映画
川本 三郎(評論家) VS 水田 宗子(城西国際大学学長)

戦後の成瀬映画の秀作「めし」、「稲妻」、「妻」、「晩菊」、「浮雲」、「放浪記」は、戦後の林芙美子の家庭小説を原作にしている。林芙美子が描いた当時の女性像(妻の立場、職業婦人の生きかたなど)を、女性映画の名手と言われた成瀬巳喜男がどのように描いたかを評論家の川本三郎氏から検証してもらう。またフェミニズムの立場から城西国際大学学長/女性学の水田宗子氏が、世界のフェミニストの間で関心をもたれている成瀬映画の魅力を論じる。

司会:村川 英(城西国際大学助教授)

成瀬 巳喜男 プロフィール

2005年に生誕百年を迎える成瀬巳喜男は、明治38年8月20日、東京四谷に生まれた。大正9年、15歳で松竹蒲田撮影所に小道具係として入社。昭和5 年に「チャンバラ夫婦」で監督デビューする。大正12年の溝口健二、昭和2年の小津安二郎のデビューから少し遅れるが、無声映画期から映画を作り始めた映画第一世代にあたる。

松竹蒲田映画の小市民映画とモダニズムの潮流の中で成瀬は「君と別れて」、「夜ごとの夢」で芸者や酒場の女など底辺の女性たちの姿を緻密な心理描写と映像で凝視、若手監督のホープとして認められた。

昭和10年、東宝の前身であるPCLに入社、トーキー第一作「乙女ごころ三人姉妹」では、浅草六区の門付け女たちの姿を描いてその演出力が注目された。さらに丸の内のモダン・ガールが愛人宅に居座る父親と母親の関係を修復させようと画策する「妻よ薔薇のように」でキネマ旬報ベストワンを獲得。新しい時代の中で奔放に生きる女たちと、古風なこれまでの女の行き方を対比させた「噂の娘」なども含めて女性映画の監督としての地位を獲得してゆく。

戦中から戦後の激動の時代の中で成瀬の自然体のリアリズムは力を発揮できなかったが、林芙美子の原作による倦怠期の夫婦を描いた「めし」で、主婦という生活者とその生活リアリズを鮮やかに描写した作品で注目された。以後、全国の小学生綴方コンクールの優秀作から水木洋子が脚色した、クリーニング店の母親の姿を描いた「おかあさん」などで本領を発揮してゆく。

成瀬の女性を描く巨匠としての地位は、さらに林芙美子の原作による父親の異なる異母姉妹たちの家族を描いた「稲妻」や、倦怠期の夫婦を描いた「妻」、金貸しの中年女性と、かっての恋人の出会いを描いた「晩菊」となって結実するが、その集大成といっていいものは戦中,仏印で愛し合った男女の戦後メロドラマ「浮雲」だろう。成瀬の持つ小市民生活リアリズムは、林芙美子の原作を得て力を発揮したが、同時に林芙美子の生活者リアリズムと女性の視点は水木洋子や田中澄江ら女性脚本家を起用したことで、率直さかつ辛辣な味を見せる相乗効果となった。また、この時期に文芸映画として注目された室生犀星「あにいもうと」、「杏っ子」、川端康成の「山の音」などがある。

成瀬は女性映画を通じて、新派やモダニズム、また文芸映画からホームドラマまでさまざまな女の生き方をスクリーンに描き続けたが、同時にその卓抜な映像表現が女性映画表現を支えた名匠でもあった。生誕百年にあたって今回のシンポジウムは成瀬映画の再発見という見地から、成瀬映画テクニックの検証、フェミニズムから見た成瀬映画、さらに世界的な評価を見せている成瀬の現代的な意味を語ってもらおうという試みである。

当シンポジウムの事務局

〒283-8555
千葉県東金市求名1番地
城西国際大学メディア学部

主催

城西国際大学メディア学部

協賛

株式会社キネマ旬報社


ページトップへ